「キン肉マン」展で上坂すみれがウォーズマン愛を語る、ゆでたまご嶋田はアニメ化熱望
東京・東武百貨店池袋店にて開催中の「キン肉マン 友情の40周年展」にて、去る10月20日にゆでたまごの原作担当・嶋田隆司と、声優の上坂すみれによるトークショーが行われた。
すでに大阪での開催を終え、このたびの東京での巡回を終えたあとに名古屋でも開催される「キン肉マン 友情の40周年展」。出身地である大阪会場へも訪れたという嶋田は「僕らが中学生の頃に、地元の大阪にある近鉄百貨店で近鉄漫画賞っていうのがあって、そこに応募して入選したのが初めてマンガでもらった賞なんです。その大阪で原画展をできたのはうれしい」と感慨深げ。東京の会場がある池袋についても、「僕らは上京してすぐの頃は成増っていうところに住んでたんですよ。だから東武東上線で(池袋の)東武百貨店にもものすごく来てました」と、会場との縁を語った。
また原画展での見どころについては、「今はデジタルで描いてる人が多いんですけど、やっぱり生原稿っていうのは貴重。紙にインクで描いて、ホワイトで修正して、写植が貼ってあるのも見れる。相棒(作画担当の中井義則)とも話したんですけど、原画はマンガ家の息吹が聞こえてきますよね。『ここは苦労したんだ』とかがにじみ出てるから」とアピールした。
ここで司会を務める清野茂樹アナウンサーが、「今日のゲストは『キン肉マン』が大好き、旧ソビエトやロシアが大好き、そしてウォーズマンが大好きな上坂すみれさんです!」と上坂を呼び込む。しかし上坂は「会場を回らせていただいたら、私よりもガチ勢が多かったので『大好き』とか言っていいものか……(笑)」と謙遜。上坂は「キン肉マン」を読み始めたきっかけについて「昭和のプロレスも好きで、『プロレスのマンガってあるのかな?』って『プロレススーパースター列伝』とかと併せて『キン肉マン』も読んだんですけど、キャラクターがとにかくカッコよくて。ガンガン読み進めてたら、初期とキャラクターの性格とか気持ちがどんどん変わっていくのが面白いんですよね。普通、キャラクターについては『キャラを守る』というか、『この人はこういうことを言わない』とか考えちゃう気がするんですけど、『キン肉マン』はそういうのがまったくなく(笑)。常にイデオロギーが変わり続けるのがすごい」と、キャラクターが正義から悪へと立場を変えることも珍しくない作風について言及。さらに「先生は読者の皆様の意見を聞いて、キャラの人気なども反映しながら描いてらっしゃるというのもどこかのインタビューで拝見して。そのせいなのか、読んでて楽しくなる作品という印象があります」と魅力を熱く語った。
「キン肉マン」の中でもウォーズマンが好きで、過去にはコラボTシャツも発売したことがある上坂。ロシア好きとしても知られる彼女だが、ウォーズマンについては「ソ連の人っていうのが特に推しポイント。21世紀になると、ソ連出身の超人って誕生できないので」と独自の視点で語り、「『コーホー』っていう不気味な呼吸音もいい。だけど昨日、最初のほうを読み返してたら、『スーハー』って書いてるコマもありましたね。普通に呼吸できるんだ、かわいい!って(笑)」とその愛が止まらない様子。
これを受けた嶋田は、「キン肉マンとウォーズマンの闘いって、作品にとって大きな転機だったんです。キン肉マンが実は覆面を被ってるという設定が生まれたのもあの試合だし、負けたほうがマスクを脱がされるっていうのも緊張感を生んだんですよ。それに負けたウォーズマンは改心したことで人気に火がついた」と明かすと、上坂は「そうですよね! それに、あの壮絶な闘いのあと、ウォーズマンがファン感謝デーイベントで、ウォーズマンスマイルで子供を追いかけ回すコマがあって(笑)。ああいう細かい描写が好きなんですよ」とマニアぶりを披露した。
ウォーズマンに対して嶋田は「読者からは、キン肉マン戦以降は扱いがひどいって言われるんですけど、でも人気投票では上位ですからね。あの報われない感じがいいのかなと(笑)」と分析すると、これには客席からは「あーー(笑)」と同意するかのような笑いが起きる。上坂も「ウォーズマンは死にがちですよね。だけど死んじゃっても友情のパワーで蘇ってくれるんであんまり心配してないです(笑)」と笑ってみせた。
続いては6月に発売された週刊少年ジャンプ29号(集英社)に掲載された、「キン肉マン」40周年を記念した特別読み切り「さよなら、キン肉マン!!」の話題に。キン肉マンの引退式について描かれたエピソードについて、なぜこのような話になったのかと問われた嶋田は、「『47ページ空けるんで何か描いてください』って言われたんですけど、そのぐらいのページだと『キン肉マン』の良さって出ないんですよね。『いろんな超人を出して、その良さを凝縮したような話を描いてほしい』って言われたんですけど……」と悩んだと明かすと、これには上坂も「無茶な注文ですね」と驚く。
嶋田は続けて「あ、キン肉マンは引退式をまだやってないから、やらしたらええやんって思い付いて。10カウントゴングを超人にやらせればみんな出せるし。で、お騒がせ屋のロビンマスクがそれを阻止して『決着をつけろ』という話にしました」という完成までの経緯を語ると、上坂は「確かに『キン肉マン』は巻数をたくさん読んで魅力が伝わるものだと思うんですけど、あの読み切りは初めて読んだ人にもそれぞれの超人のカッコよさが伝わるなって思いました」と感心。さらに「立派になったキン肉マンの引退を見届ける気持ちで読みつつ、ホントに引退しちゃうの?っていうロビンマスクと同じ気持ちで読んでたら、そのタイミングでロビンが止めに入ってきてくれるので『いいぞいいぞ!』って思いました」と感想を語った。
清野アナから「40周年を振り返って、印象的な場面は?」と問われた上坂は「最初の頃のラーメンマンは好きです。ブロッケンJr.のお父さん(ブロッケンマン)を(キャメルクラッチで)へし折る場面とか」とコメントしつつ、「あとはウォーズマンが試合前にひげ剃りしてる場面とか(笑)。ウォーズマンは超人病院で寝てるシーンとかもかわいいんですよ。おとなしいなーって」とここでもウォーズマンの名前を出す。さらに「(バッファローマン戦での)『こ…こわい……』っていうコマとかも、コンピューター超人だと思って読むと、ギャップがかわいらしい」と溢れる愛を語りながら、嶋田に対して「ひとつ要望があるなら、ウォーズマンがかませ犬にならない話が読みたいです。試合前に不意打ちとかをされない、正々堂々強い超人に戦って勝つエピソードがもっと見たい」とアピール。これを聞いた嶋田が「最近は勝ってるんですけどね」としつつ「わかりました」と応じると、上坂は「これは期待していいんでしょうか!?」と興奮した。
来場者からの嶋田への質問コーナーでは、「50周年に向けて叶えたい夢はありますか」という問いが。これに嶋田が「本格的なアニメをやりたいですね」と答えると、上坂および観客から「おおー」という大きな歓声と拍手。嶋田は「会場にある来場者からのメッセージコーナーを見ても、アニメ化を希望する声が非常に多かったので、本気でやらないとダメだなって」と力強く宣言した。
イベントの最後には上坂が「記念すべきトークショーに参加させていただいて楽しかったです。独自の質問ばっかりしてすみません(笑)」とコメント。嶋田は「体力が続く限りは相棒と2人で力を合わせて『キン肉マン』を描き続けますので、よろしくお願いします」とアピールした。
「キン肉マン 友情の40周年展」では原画と複製原画を合わせて80点以上展示。週刊少年ジャンプの表紙を飾ったイラストや、お宝グッズも飾られるほか、リングやキン肉ハウスを再現したフォトスポットなども用意される。池袋での展示は10月29日まで、愛知・名古屋パルコでの展示は11月23日から12月8日まで。
キン肉マン 友情の40周年展
会期:2019年10月16日(水)~10月29日(火)
会場:東京都 東武百貨店池袋店 8階催事場
時間:10:00~20:00(最終入場は閉場の30分前まで。最終日は18:00閉場)
入場料:一般・大学生1300円、中学・高校生800円、小学生以下無料
会期:2019年11月23日(土)~12月8日(日)
会場:愛知県 名古屋パルコ 西館6階パルコギャラリー
時間:10:00~21:00(最終入場は閉場の30分前まで)
入場料:一般・大学生1300円、中学・高校生800円、小学生以下無料
(c)ゆでたまご/集英社